勾留(起訴前)とは?わかりやすく解説!

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勾留(起訴前)とは?わかりやすく解説!

 

 勾留とは、長期の身体拘束を言います。勾留は、逮捕に続いて行われる起訴前勾留と、被疑者を起訴した後に行われる起訴後勾留がありますが、ここでは、主に起訴前勾留について説明します。 

1.勾留の請求 

 勾留の請求ができるのは検察官のみで、請求の相手方は裁判官です(刑訴204条等)。起訴前勾留の請求は、被疑者の逮捕が先行していない限り認められません(刑訴207条1項、逮捕前置主義)。 

 

・刑事訴訟法207条1項 :「前三条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。」 

 

「前三条」は、検察官が被疑者を逮捕した場合、検察官が逮捕された被疑者の送致を受けた場合を指します。 

 また、「その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する」とは、刑事訴訟法60条以下で規定する、勾留に関する裁判所の権限を指します。このように、勾留請求に関する規定を確認するためには、207条周辺だけでなく、60条周辺も確認しなければならないのです。 

 勾留の請求は、検察官が被疑者を逮捕してから48時間以内にしなければなりません(刑訴204条1項)。また、警察官が被疑者を逮捕し、検察官が被疑者の送致を受けた場合、受け取った時から24時間以内、かつ、逮捕から72時間以内にしなければなりません(刑訴203条等)。

 

*刑事訴訟法は、最初に裁判所の権限等を規定し、捜査機関の権限等は、裁判所に関する規定を準用して定めるという非常に分かりにくい構造になっています。 これは、現行刑事訴訟法が、旧刑事訴訟法を踏襲したものであることが理由です。

 

2.勾留の要件 

 勾留請求を受けた裁判官は、被疑者を勾留するか否かを判断します。もっとも、その判断に先立ち、被疑者に対して勾留質問をしなければなりません(刑訴61条)。 

 

刑事訴訟法61条 :「被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。但し、被告人が逃亡した場合は、この限りでない。」 

 

 勾留は、被疑者の身体拘束を奪うものなので、どのような場合でも認められるわけではなく、①罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由(刑訴60条1項柱書)②勾留の理由(刑訴60条1項各号)③勾留の必要性(刑訴87条1項)といった要件を充足した場合に認められます。 

 

・刑事訴訟法60条1項 :「裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。」 

・1号 「被告人が定まった住居を有しないとき。」 

・2号 「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」 

・3号 「被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」 

・刑事訴訟法87条1項 :「勾留の理由又は勾留の必要がなくなったときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。」

 

 勾留の期間は、勾留請求の日から10日です(刑訴208条1項)。もっとも、更に10日間の延長がされる場合があります(刑訴208条2項)。

 

・刑事訴訟法208条1項 :「前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。」 

・2項 :「裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて10日を超えることができない。」 

 

【判例解説】逮捕の違法と勾留の違法(捜査):東京高判昭和54年8月14日 

【判例解説】一罪一逮捕一勾留の原則と再逮捕・再勾留(捜査):仙台地決昭和49年5月16日

【判例解説】再逮捕・再勾留の許容性(捜査):東京地決昭和47年4月4日

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