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【コラム】残業代が一部出ない・・・。これって適法?違法?

Last Updated on 2024年1月16日

【コラム】残業代が一部出ない・・・。これって適法?違法?

 

 企業によっては、残業が多いところがあります。そして、残業代の計算のため、書面等により残業時間を申請し、これに対応して残業代が支払われるといった運用を行っていることがあります。もっとも、上司に、実際に行った残業時間を申請しようとしたら、「もう少し少ない時間で申請してくれ。」などと言われることがあります。その結果、残業代が一部支給されないケースがあります。このように、残業代が一部支払われない運用は、適法なのでしょうか?

 

1.残業代はどのように計算する?

 

(1)残業代が発生するケース

 

 残業代は、労働基準法上の割増賃金に当たります(*)。割増賃金は、端的に言えば、1日8時間及び1週間に40時間(法定労働時間といいます。)以上働いた場合に、発生する賃金です。

 

 例えば、労働者であるAさんは、月曜から木曜まで8時間働きましたが、金曜日は9時間働いたとします。この場合、月曜から木曜日までは、8時間労働なので割増賃金は発生しませんが、金曜日は、9-8=1時間については、割増賃金が発生します。

 

*労働時間が1日7時間の場合

 働き方は多様になってきている現代では、1日の労働時間が8時間ではなく、7時間等とされている方も多いでしょう。労働時間が7時間とされている労働者が8時間働いた場合、割増賃金は発生するのでしょうか?

 答えは、発生しない、です。割増賃金は、法定労働時間である1日8時間、1週間に40時間を超えた場合に発生するためです。とはいえ、8-7=1時間分の労働が無給となるわけではありません。 

 

(2)残業代の額

 

  残業代の額は、通常の労働時間の賃金の計算額の25%を加えたものです。例えば、時給換算した結果、時給1000円の労働者が、1時間残業したとします。この場合、1000+(1000*0.25)=1250円が、残業代となります。

 

2.残業代の一部不支給は違法

 

 さて、冒頭で述べた、「もう少し少ない時間で申請してくれ。」と言われ、その結果、残業代(割増賃金)が一部支給されなかったケースを考えてみます。

 

 まず、割増賃金は、法定労働時間を超えて働いた時点で発生します。そのため、上司に言われ、実際の労働時間より少ない時間で残業時間を申請した場合でも、実労働時間に対応した割増賃金が発生します。例えば、実際に、月20時間の残業をした方が、月10時間の残業をしたとして残業時間を申請した場合でも、月20時間分の割増賃金が発生します。要は、残業時間の申請は、企業が残業時間を把握するための手続に過ぎず、割増賃金は、申請とは無関係に発生するのです。

 

 そして、割増賃金の不支給は違法で、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金という刑事罰もついています。実際に、刑事裁判になり処罰を受けた事例も存在します。

 

3.まとめ

 

 以上からわかるように、残業代の一部不支給は違法です。企業の中には、上記事例のような違法な対応が行われているケースがあると思われますので、注意しましょう。

 

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