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告訴とは?わかりやすく解説! 

Last Updated on 2022年6月9日

 刑事訴訟法には告訴という制度が定められています。告訴とは、被害者その他法律上告訴権ある者が検察官又は司法警察員に対し、犯罪事実につき犯人の処罰を求める旨の意思表示をすることをいいます(最判昭和26年7月12日)。 

 

 告訴は、被害届や告発と同様に捜査の端緒の1つであり、また捜査機関に犯罪事実について伝えるという点では共通します。しかし、被害届には犯人の処罰を求める意思表示が含まれない点、告発は告訴権者でない者が行うものである点で異なります。 

 

*捜査の端緒についての解説はこちら 

 

 告訴をすることができるのは、犯罪の被害者や法定代理人(親権者や後見人)です。例えば、器物損壊罪の場合にはその物の所有権者が告訴権者となるのが原則です。もっとも、所有権者でなくとも、犯罪により害を被った者と評価され、告訴が可能な場合もあります(*最判昭和45年12月22日)。  

 

・刑事訴訟法230条 「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。」  

・刑事訴訟法231条1項 「被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。」 

 

 告訴は、犯人を知った日から6ヵ月が経過するまでの間に可能です。犯人を知ったとは、犯人が誰かを特定しうる程度に認識した状態になった日をいいます(最判昭和39年11月10日)。犯人の住所や氏名等を知っていることを要しません。 

 

また、告訴期間の起算日は犯罪終了時と解されます。そのため、犯罪が継続中に犯人について認識した場合でも、犯罪が終了するまで告訴期間の起算日は設定されません。これが問題となるケースはほとんどないと思われます。ただ近年、インターネット上で名誉毀損罪が行われた場合には、名誉を毀損する書き込み等が掲載されている間は、犯罪は終了せず告訴期間の起算日は設定されないとした裁判例があります(*大阪高判平成16年4月22日)。 

 

・刑事訴訟法235条 「親告罪の告訴は、犯人を知った日から六箇月を経過したときは、これをすることができない。ただし、刑法第二百三十二条第二項の規定により外国の代表者が行う告訴及び日本国に派遣された外国の使節に対する同法第二百三十条又は第二百三十一条の罪につきその使節が行う告訴については、この限りでない。」 

 

 告訴は書面または口頭で行います。代理人によってすることもでき、実際、弁護士に告訴を依頼することもあります。受理権限があるのは検察官と司法警察員です。また、告訴は公訴が提起されるまでは取り消すことができます。 

 

・刑事訴訟法237条1項 「告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。」 

・刑事訴訟法240条 「告訴は、代理人によりこれをすることができる。告訴の取消についても、同様である。」 

 ・刑事訴訟法241条1項 「告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。」 

 

 告訴は犯罪について行うものです。そのため、共犯者がいる場合には、原則として、告訴の効力は共犯者すべてに及びます(主観的不可分の原則)。例えば、器物損壊罪をXとY共同して行った場合、被害者がXについて告訴をすればその効力はYについても及びます。そのため、検察官はXだけでなくYについても起訴することができます。 

 

・刑事訴訟法238条1項・・・親告罪について共犯の一人又は数人に対してした告訴又はその取消は、他の共犯に対しても、その効力を生ずる。 

 

 また、明文の規定はないですが、犯罪の一部についての告訴はその全体について及ぶと考えられています(客観的不可分の原則)。判例には、宣誓した証人が同一の手続内で複数の虚偽証言を行った場合で、一部分について告発があったときは、その他の部分についてもその効力が及ぶとしたものがあります(最判平成4年9月18日) 

   

 

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