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【判例解説】自首の成否①(刑法総論):最判昭和60年2月8日

  

Point 
1.虚偽の事実を申告した場合でも、自首は成立し得る 

 

1.事案の概要 

  

 被告人は、無免許運転中に自動車を海に転落させる事故を起こし、その際同乗者を負傷させました。警察官の取調べに際し被告人は、同乗者はいないと嘘をつきました。その後、業務上過失致傷の事実が発覚する前に、同乗者がいること、その者が負傷したことを警察官に申告しました。原審は、虚偽の事実を申告し捜査を妨害したことを指摘し、自首の成立を否定しました。 

 

(関連条文) 

・刑法42条 「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」 

 

【争点】 

・虚偽の事実を申告した場合でも自首は成立するか 

2.判旨と解説 

  

*自首についての解説はこちら 

 

 被告人は犯罪事実および犯人が「捜査機関に発覚する前に」自首をしていますから、本来であれば、任意的に刑が減刑されるはずです。しかし、被告人は自首をする前に、虚偽の事実を捜査機関に申告し捜査を妨害しています。そこで、このような場合にも自首は成立するか問題になります。 

 

 最高裁は、原則通り、本件のように捜査機関に発覚する前に申告をした以上、自首は成立するとしました。 

 

*自首が成立するとした他の判例はこちら 

*自首が成立しないとした最近の判例はこちら 

 

 「本件事案において、捜査にあたつた警察官は、被告人が業務上過失傷害の事実を申告するまで、同人に対し人身事故の嫌疑は抱いておらず、右申告は警察官の尋問を待たずに進んで行われたものであるから、被告人が、警察官に真実を告げず、その場をつくろつて自己に嫌疑が及ぶことを妨げた事情があつたとしても、原判決がその説示するような理由により被告人について自首の成立を否定するのは正当でなく、本件業務上過失傷害、道路交通法違反(人の負傷を伴う交通事故の報告義務違反)については、被告人の自首があつたものと認めるのが相当であり、被告人について自首の成立を否定した原判決の判断は刑法四二条一項の解釈を誤つたものというべきである。」 

 

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