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【判例解説】自首の成否②(刑法総論):最判平成13年2月9日 

Last Updated on 2022年5月25日

 

Point 
1.虚偽の事実を申告した場合でも、自首が成立するとされた事例 

 

(関連条文) 

・刑法42条1項 「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」 

 

【争点】 

・使用したけん銃と異なるけん銃を持参し、これを使用したとの虚偽の申告をした場合にも自首は成立するか 

 

1.判旨と解説 

  

*自首についての解説はこちら 

 

 被告人は、銃刀法違反の罪等を犯しましたが、犯人が被告人であることは捜査機関に判明していませんでした。その状況下で被告人は、警察署に出頭し、自己の犯罪事実を述べました。もっともその際に、犯行に使用したけん銃について虚偽の申告をしました。 

 

 このような場合にも自首の成立が認められるかが問題になりましたが、最高裁は、自首の成立を肯定しました。 

 

*虚偽の事実を申告した場合に自首が成立するとした他の判例についてはこちら 

*自首の成立を否定した最近の判例はこちら 

 

「被告人は,けん銃1丁を適合実包と共に携帯して所持し(銃砲刀剣類所持等取締法3条1項,31条の3第1項,2項),そのけん銃を用い対立する暴力団組事務所に向けて銃弾4発を発射した(平成11年法律第160号による改正前の銃砲刀剣類所持等取締法3条の13,銃砲刀剣類所持等取締法31条)上,被告人が犯人であることが捜査機関に発覚する前に,警察署に出頭し,警察官に対し前記事務所に自ら発砲した旨述べたが,その際,これらの犯行に使用したものとは異なるけん銃に発射を装う偽装工作を施して持参し、そのけん銃を使用したと虚偽の供述をしたものである。以上によれば,被告人は,前記各犯行について,捜査機関に発覚する前に自己の犯罪事実を捜査機関に申告したのであるから,その際に使用したけん銃について虚偽の事実を述べるなどしたことが認められるとしても,刑法42条1項の自首の成立を妨げるものではなく,その成立を否定した原判決の判断は,同条項の解釈を誤ったものといわなけばならない。」 

 

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