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再逮捕・再勾留とは?わかりやすく解説!

1.再逮捕・再勾留とは? 

 

 再逮捕・再勾留とは、一度逮捕・勾留した被疑者について、同一の被疑事実を理由とする逮捕・勾留を行うことをいいます。例えば、Aさんに対する殺人罪で逮捕・勾留された被疑者を、釈放した後に再び、Aさんに対する殺人罪を理由として逮捕・勾留する場合をいいます。 

 

 現行法では、再逮捕・再勾留ともに許容される場合があると考えられています。それは、以下の理由によります。 

 

①刑事訴訟法199条3項、刑事訴訟規則142条8号は、再逮捕があり得ることを前提とした規定 

実際上、再度の身体拘束をして捜査を行う必要性が生じることがある 

③逮捕と勾留は密接不可分な制度であるから、再逮捕を認める以上、再勾留も認めるべき 

 

・刑事訴訟法199条3項 「検察官又は司法警察員は、第一項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があつたときは、その旨を裁判所に通知しなければならない。」 

・刑事訴訟規則142条1項 「逮捕状の請求書には、次に掲げる事項その他逮捕状に記載することを要する事項及び逮捕状発付の要件たる事項を記載しなければならない。」 

・8号 「同一の犯罪事実又は現に捜査中である他の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があつたときは、その旨及びその犯罪事実」 

 

 とはいっても、再逮捕・再勾留を無制限に認めてしまっては、法が逮捕・勾留期間を定めた趣旨を没却してしまうし、また、起訴前に被疑者を不当に長く身体拘束してしまうことになります。 

 

 そこで、再逮捕・再勾留が認められるのは例外的な場合に限られると考えられています。 

 

なお、ニュースなどでいわれる再逮捕と、ここでいう再逮捕は意味が異なります。ここでいう再逮捕等が許されるかの問題は、実体法上一罪にある犯罪について再逮捕が許されるかの問題です。先ほど述べたケースのほか、以下の参考判例にあるように、1つの常習賭博罪で2回逮捕する場合のことを指します。実際には、この意味での再逮捕はあまり行われません。 

 

他方で、ニュースで見る再逮捕のほとんどは(何なら全て)、一度逮捕された被疑者を、別の被疑事実で逮捕する場合をいいます。例えば、殺人罪で逮捕中の被疑者を、窃盗罪で逮捕する場合をいいます。事件単位の原則では、逮捕・勾留中の被疑者を、別の事件を理由として逮捕・勾留することも可能なのです。この意味での再逮捕・再勾留は、事件単位の原則がとられている現行法では、原則として適法と考えられています。 

 

*事件単位の原則についての解説はこちら 

 

2.参考判例 

 

【判例解説】再逮捕・再勾留の許容性(捜査):東京地決昭和47年4月4日・・・爆発物取締罰則違反で逮捕・勾留された被疑者を、再度、同一の被疑事実で逮捕し勾留請求した事案 

 

【判例解説】一罪一逮捕一勾留の原則と再逮捕・再勾留(捜査):仙台地決昭和49年5月16日・・・常習賭博罪で逮捕・勾留された被疑者を、再度、常習賭博罪(先の逮捕と勾留において被疑事実とされていないが、実体法上一罪を構成する賭博事実)で逮捕し、勾留請求した事案 

 

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