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強盗致死傷罪(刑法240条)とは?わかりやすく解説! 

Last Updated on 2021年2月7日




 

 強盗致死傷罪は、強盗が人を負傷又は死亡させた場合に成立します(刑240条)。 

 

・刑法240条 「強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。 

・刑法243条 「235条から第236条まで、第238条から第240条まで及び第241条第3項の罪の未遂は、罰する。 

 

*強盗罪の解説はこちら 

*事後強盗罪の解説はこちら 

 

 強盗とは、強盗犯人(事後強盗、昏睡強盗の犯人も含む)を指します。強盗既遂未遂を問いません(最判昭和23年6月12日刑集2巻7号676頁)。 

 

 致死傷の結果は強盗の機会に生じる必要があると解されています(最判昭和24年5月28日刑集3巻6号873頁)。 

 

 強盗致死傷罪は未遂犯処罰規定があります(刑243条)強盗致死傷罪が既遂となるか未遂となるかは、死傷の結果が発生したか否かで決定されます(最判昭和23年6月12日刑集2巻7号676頁)。 

 

例① Xは、Y宅に入ってYに暴行を加え、金銭を奪おうとしたがYに抵抗された。そこで、Xは持っていたナイフでYを刺し、何も奪わず逃亡した。その結果Yは死亡した。 

 

Xは財物を奪取していないため、強盗は未遂に終わっています。しかし、上記のように、強盗未遂犯人本罪の「強盗」に含まれます。また、Yは死亡しており、これはXが強盗の犯行中に行った行為により生じています。そのため、Xの行為に強盗殺人既遂罪が成立します。 

 

 例② Xは、Yを殺して金銭を奪おうとY宅に強盗に入った。そしてYを殺害し金銭を奪った。 

 

 強盗に入った者が人を死亡させた場合で、死について故意があるときには殺人罪は適用されず、刑法240条のみが適用されます(最判昭和32年8月1日刑集11巻8号2065頁)。したがって、この例の場合Xには殺人罪の規定は適用されず強盗殺人罪の規定が適用されます。 

 

 この立場だと負傷についての故意があった場合にも同様の結論になります(傷害罪は適用されず240条のみが適用される) 

 

・死について故意あり・・・強盗殺人罪 

・死について故意無し・・・強盗致死罪 

・負傷について故意あり・・・強盗傷人罪 

・負傷について故意無し・・・強盗致傷罪 

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