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【判例解説】起訴後の取調べの適法性(捜査):最判昭和36年11月21日 

 

Point 
1.起訴後も被告人を取調べることは許される 

 

(関連条文) 

・刑事訴訟法197条1項 「捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。」 

・刑事訴訟法198条1項 「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。」 

 

【争点】 

・起訴後に被告人を取調べることは可能か 

 

1.判旨と解説 

 

 本件では、起訴後の取調べにおいて作成された被告人の供述調書が証拠として採用されています。そこで被告人は、起訴後の取調べは違法であるから、違法な取調べにより作成された供述調書の証拠能力を否定すべきと主張しました。 

 

*証拠能力の解説はこちら 

 

 起訴前の取調べは当然許されますが、なぜ起訴後の取調べについては異なる考え方があるのでしょうか。それは、刑事訴訟法198条1項が「被疑者」としているからです。つまり、「被疑者」は起訴されたことで「被告人」となり、刑事訴訟法は被告人の取調べについては何も規定していないのだから、被告人を取調べる法的根拠が欠けるという事です。 

 

 この問題を解決したのが本判決です。最高裁は、刑訴法198条にかかわらず、刑訴法197条1項が任意捜査については何ら制限をしていないことを理由に、起訴後においても被告人を取調べることは許されるとしました。 

 

「(なお、刑訴一九七条は、捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる旨を規定しており、同条は捜査官の任意捜査について何ら制限をしていないから、同法一九八条の「被疑者」という文字にかかわりなく、起訴後においても、捜査官はその公訴を維持するために必要な取調を行うことができるものといわなければならない。なるほど起訴後においては被告人の当事者たる地位にかんがみ、捜査官が当該公訴事実について被告人を取り調べることはなるべく避けなければならないところであるが、これによつて直ちにその取調を違法とし、その取調の上作成された供述調書の証拠能力を否定すべきいわれはなく、また、勾留中の取調べであるのゆえをもつて、直ちにその供述が強制されたものであるということもできない。本件において、第一審判決が証拠に採用している所論被告人の検察官に対する昭和三五年九月六日付供述調書は、起訴後同年九月七日の第一回公判期日前に取調がなされて作成されたものであり、しかも、右供述調書は、第一審公判において、被告人およびその弁護人がこれを証拠とすることに同意している。したがつて、原判決には所論のような違法は認められない。)。」 

 

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