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詐欺・脅迫(民法96条)とは?わかりやすく解説! 

Last Updated on 2021年2月14日




 

 民法96条は、詐欺・強迫による意思表示について定めています。詐欺と強迫は、意思と表示に不一致があるのではなく、意思の形成過程に瑕疵があるものです。  

 

・民法96条1項 「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。」 

 

*意思表示の解説はこちら 

 

例① XはYが「この水は特別な水なので、肩こりや腹痛に効くというので、この水を500円で買った。しかし、これはただの水だった。 

 

 Xは、その水を買おうとして、意図した通りに水を買えていますから、効果意思はあります。しかし、Xの意思表示はYによる虚偽の説明を原因として行われています。 

 

 詐欺による意思表示とは、相手方の欺罔行為により表意者が錯誤に陥り、その錯誤によりされた意思表示をいいます。 

 

 詐欺が認められるためには、欺罔者に①相手方を欺罔して錯誤に陥らせる故意②その錯誤により意思表示をさせる故意が必要です。作為による詐欺はもちろん、沈黙による詐欺も認められる場合があります。 

 

 この例では、Yに上記故意があると思われます。そのため、Yにだまされて意思表示を行ったXは、この意思表示を取り消すことが可能です。  

 

例② Xは、Yが「この水は特別な水なので、肩こりや腹痛に効く」といったが、そんなの嘘だろうと思いこれを拒絶した。すると、Yはナイフを取り出し「これを買わなければ殺す」と脅してきたので、畏怖したXは仕方なく水を500円で買った。 

 

この場合も、Xはこの水を買おうと思い実際に水を買っているので、効果意思はあります。しかし、この意思表示は強迫により行われています。 

 

 強迫による意思表示とは、強迫により畏怖が生じ、これに基づき行った意思表示をいいます。 

 

 強迫が認められるには、詐欺と同様に①相手方を強迫して畏怖させようとする故意②それにより意思表示をさせる故意が必要です。この例でも、Xによる意思表示は取り消すことが可能です。 

 

 欺罔行為を行ったのが第三者である場合には、意思表示の相手方が詐欺について知っていた、または知ることができた場合に、取り消すことが可能です(民96条2項)。同条の反対解釈として、第三者による強迫の場合、上の場合に限られず意思表示を取り消すことが可能です。 

 

・同条2項 「相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。」 

 

また、詐欺による意思表示の取消しは善意無過失の第三者には対抗できません。他方、同条の反対解釈として、強迫による意思表示の場合、第三者が現れても意思表示を取り消すことが可能です。 

 

・同条3項 「前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。 

 

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