Skip to main content

錯誤(民法95条)とは?わかりやすく解説! 

Last Updated on 2021年2月14日




 

 錯誤とは、意思表示やその動機何らかの誤解があることをいいます。 

 

*意思表示の解説はこちら 

 

例① XはYから本を2000円で買おうとしたが、誤って購入代金を20000円としてしまった。

 

この場合、表示は20000円となっていますが、Xの意思としては2000円で本を購入するつもりでした。そのため、表示と意思(この場合は効果意思)に錯誤が生じています。 

 

例② Xは有名画家の描いた絵画が欲しかったので、Yから有名画家の描いた絵画を購入した。しかし後になって、この絵画はただの一般人が描いた絵画であることが判明した 

 

 この場合、Xとしては、有名画家が描いた絵画が欲しくて甲を購入しています例①とは異なりXは、意図した通りの法律効果発生させています(甲の所有権を取得しようとして、実際に取得している。)しかし絵画甲有名画家の描いたものではありませんでした。そのため、Xには動機の錯誤があります。 

 

 錯誤があった場合に、意思表示は必ず無効になると解した場合、契約の相手方は不測の損害を被ることになります。そのため、民法は、意思表示に錯誤があれば直ちにこれが無効になるとは定めておりません。 

 

 民法95条1項は、意思表示に対応する意思を欠く錯誤(例①)と動機の錯誤(例②)があった場合で、その錯誤が重要なものであるときは取り消すことができるとしています。 

 

 重要な錯誤とは、①錯誤が無かったら表意者が意思表示をしていなかった②一般人が表意者の立場であったら当該意思表示をしなかったと認められる場合をいいます。 

 

・民法95条1項柱書 「意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。」 

・1号 「意思表示に対応する意思を欠く錯誤」 

・2号 「表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」 

 

もっとも、動機の錯誤の場合には、錯誤が重要であることだけでは足りず、更に、その事情が法律行為の基礎とされていなければなりません(民95条2項)。 

 

・同条2項 「前項第二号の規定による意思表示の取り消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。

 

 そうすると、例①では、売買の代金は取引において重要なものなので、意思表示の取消しが認められそうです。 

 

 他方、例②では、売買の目的物が有名画家の描いた絵画であることが、取引の前提となっていることをXが表示しYがこれを了解していた場合には、取消しが認められそうです(もっともこの場合、後述する共通錯誤に該当する場合が多いでしょう)。 

 

 なお、表意者に重過失があった場合には、錯誤による取り消しを主張できません。 

 

・同条3項 「錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第1項の規定による意思表示の取り消しをすることができない。 

 

 もっとも、表意者に重過失があっても、①錯誤について相手方が悪意ないし重過失があった場合、あるいは、②相手方と同一の錯誤に陥っていた場合(例②でYも絵画甲が有名画家が作成したものと考えていた場合)には、錯誤による取り消しを主張できます。 

 

・1号 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき 

・2号 「相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき 

 

例③ Xは、Yに絵画乙を売却した。両者は、絵画乙は売れない画家が描いたものだと思っており、それを前提にしていた。そして、YはZに絵画乙を売却した。その後、絵画乙は有名画家が描いたものであることが判明した。 

 

 この場合、XYは共通錯誤に陥っているので、Xに重過失があろうとなかろうと、意思表示が取り消せそうです。しかし錯誤には第三者保護の規定があります(民95条4項)。そのため、Zが錯誤について善意無過失であった場合、意思表示を取り消すことはできませ 

 

・同条4号 「1項の規定による意思表示の取り消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。 

 

錯誤についての判例はこちら 

スポンサーリンク
コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です