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虚偽表示(民法94条)とは?わかりやすく解説! 

Last Updated on 2021年2月14日




 

 虚偽表示とは、表意者と相手方が結託して(通謀と言います)、虚偽の意思表示をすることを指します(民94条1項) 

 

・民法94条1項 「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。 

 

 当事者に表示に対応する意思(効果意思)がないこと、そして通謀があるため相手方の信頼を保護する必要もないことから、虚偽の意思表示は無効となります。 

 

*意思表示の解説はこちら 

 

 虚偽表示の要件は①意思表示の外形が存在すること効果意思の不存在通謀です。 

 

 例① Aは、債権者からの差し押さえを避けるため、Bと相談をして、高価な時計をBに贈与したことにしようと考えた。そして時計をBに贈与することを内容とする契約書を作成して時計をBに引き渡した 

 

 この場合、Aは時計をBに贈与するつもりはないのに、時計の贈与を内容とする契約書を作成しています。また、AはこれをBと通謀して行っています。そのため贈与の意思表示は無効とります。 

 

その結果、贈与は無効となるので、AはBから時計を返してもらうことができます。また、Aの債権者も贈与を無視して時計を差えることができます。 

 

例② 例①で時計を受け取ったBは、これをいいことに、何も知らないCに売ってしまった。 

 

 善意の第三者が現れた場合は別です。虚偽表示が無効でも、善意の第三者には対抗できないとされているからです(民94条2項)  

 

・民法94条2項 「前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。 

 

 第三者とは、当事者やその包括承継人以外の者で、虚偽表示の目的につき法律上の利害関係を有するに至った者を指します最判昭和42年6月29日判時491号52頁 

 

 設例の場合、Cは、A-B間の虚偽の贈与契約を基礎に法律関係に入ってきており、また、贈与契約が虚偽表示によるものであることを知りませんでした。そのため、Cは善意の第三者とな、Aは贈与契約が無効であることをCに主張できません。したがって、Cは時計の所有権を取得します。 

 

例③ 例②でCは、A-B間の贈与が虚偽表示によるものだと知っていた。しかし、Cはこれ善意のDに売ってしまった。 

 

 この場合、CはA-B間の贈与契約が虚偽表示によるものだと知っています。しかし、94条2項の第三者は直接の譲受人に限られないと解されています。そのため、Dは善意の第三者に該当するので、Dは保護され時計の所有権を取得します。 

 

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