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証拠能力・証明力とは?わかりやすく解説! 

Last Updated on 2020年11月19日

 

1.証拠能力とは 

 

裁判では、証拠から事実認定をして被告人が犯罪を犯したか否かを判断します。そのため、裁判では証拠が非常に重要な役割を果たします。もっとも、証拠の全てが裁判において使用できるというわけではなく、証拠の中でも適切なものだけが裁判で事実認定の基礎ることが許されます。このように、事実認定の基礎とできる資格を証拠能力と言います。 

 

*証拠についての解説はこちら 

 

 証拠能力を欠く場合以下のように分類されます(もっとも、これは分類の仕方に過ぎず、刑事訴訟法上3要件が規定されているわけではありません)。 

  

自然的関連性の欠如・・・例えば、人を殺したことを証明しようとして全く関係のない近所の公園で拾った石を持ち出しても、何ら意味を持ちません。なぜなら、この証拠から人を殺したという事実を推認することは不可能だからです。証明しようとする事実との関係で、その証拠が最小限の証明力を有しない場合には自然的関連性を欠くとして証拠能力が否定されます。 

 

法律的関連性の欠如・・・例えば、人を殺したことを証明しようとして、被告人が以前殺人罪を犯した事実を持ち出したとします。このよう前科・悪性格については(伝聞証拠などもこれにあたる)、自然的関連性はあるが争点を混乱させるなどの問題があることから、法律的関連性を欠くとして証拠能力が否定されます。 

 

証拠禁止・・・例えば、捜査手続きに重大な瑕疵があり、これを証拠とすることが許されないとされた場合には、その証拠を裁判で用いることが禁止されます(違法収集排除法則)。このような場合を、証拠禁止と言います(他にも自白法則等) 

 

2.証明力とは 

 

証拠能力と似た言葉として、証明力があります。証明力とは、証拠の持つ実質的価値を言い、これは①その証拠の有する推認力と供述の信用性に分けられます。証拠能力は、その証拠が裁判で使用できるか否かの問題であるのに対して、証明力は証拠能力があることを前提にその証拠が持つ推認力のこと指します。 

 

例えば、被告人の自白を内容する調書が証拠として存在する場合、これは証明力(被告人の犯人性の推認力)が高いとされるのが一般的です。しかし、これが自白法則に反する場合、証拠能力を欠くとされるので、いくら証明力がある証拠であろうと、これを基礎に事実認定することは許されません。 

 

証明力の判断は、裁判官の自由な心証に委ねられます(刑訴法318条、自由心証主義)。 

・刑事訴訟法318条 「証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる。
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