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憲法上、法人の権利はどこまで保障されるの?

Last Updated on 2022年3月15日

 現代社会において、法人(会社)はどこにでも存在し、もはや社会の構成要素となっています。ところで、憲法上、人々の基本的権利は保障されていますが、法人についてはどうでしょう?結社を設立する自由は保障されていますが、その結社にどのような権利が保障されているのでしょうか? 

1.憲法上、法人の権利が保障される範囲 

 憲法上の権利が法人に及ぶか否かについて明文の記載は存在せず、解釈に委ねられています。法人に憲法上の権利を保障すべきとする根拠は、①法人の活動は自然人を通して行われており、その効果は自然人に及ぶ②法人は今や社会的に実在している、にあります。 

 法人に憲法上の権利が保障されるとしても、それは自然人に及ぶ保障と同程度のものなのでしょうか?この点最高裁は、法人の憲法上の権利の保障について、「…性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきである」(八幡製鉄事件)とする考えを示しています(なお性質説マクリーン事件参照)。 

憲法上、法人に保障される権利としては、①経済的自由権(職業の自由、財産権、居住移転の自由)②国務請求権(国家賠償請求権、請願権、裁判を受ける権利)③刑事手続き上の権利(適正手続きの原則等)④精神的自由権(表現の自由、教育の自由等)が及ぶと解されています。 

 他方、①参政権②生命や身体に関する自由は、法人には保障されないと解されています。 

2.法人の権利と個人の権利の衝突 

 法人に憲法上の権利が保障されているとしても、これは一定限度で制限を受けます。まず、法人内部に存在する個人の人権と衝突する場合です。法人の権利保障の根拠が、法人を通じた個人の権利保障である以上、法人の権利と個人の権利が衝突するような場合、法人の権利保障が劣後する場合がありうるのです。また、巨大な力を持つ法人の政治的自由や経済的自由は社会的な影響が大きいため、特別な規制に服する場合があるとされます。 

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