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国会議員って逮捕されるの?国会議員の不逮捕特権とは

最近、IRを巡る贈収賄事件に関して、約10年ぶりに国会議員が逮捕されました。しかし、「国会議員って逮捕されるの?」「憲法で不逮捕特権が認められていなかったっけ?」と考えた方がいらっしゃると思います。そこで、この疑問を解消すべく、国会議員の不逮捕特権について詳しく解説します。 

1.国会議員の不逮捕特権

(1)国会議員の不逮捕特権とは? 

 憲法50条は、「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期中に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。」と定めています。 

 これを受けて、国会法33条は「各議院の議員は、院外における現行犯の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。」と定めています。つまり、国会議員の逮捕は、①院外における現行犯の場合②所属する院の許諾がある場合に限り許されるという事です。 

 会期中とは、国会が開かれている期間を指します。つまり、閉会中にはこの不逮捕特権はありません。もっとも、国会が開会して所属する院の要求があった場合、逮捕された議員を釈放しなければなりません。 

この場合の逮捕とは、刑事訴訟法にいう逮捕に限定されず、勾引、勾留等、広く身体の拘束を含むと解されています。 

(2)なぜ不逮捕特権が認められるの? 

 国民は皆犯罪を犯した場合、逮捕される可能性があります。しかし、国会議員が犯罪を犯した場合は、逮捕が制限されます。これは、一体どういう理由に基づくのでしょうか?なぜ不逮捕特権が認められるかについて、学説は2つの説が対立します。 

 1つ目は、不逮捕特権は国会議員の身体的自由を保障するためにある、とするものです(身体的自由保障説)。これは、行政府の政治的な理由による国会議員の逮捕(警察・検察組織は行政府に属します)や、不当な逮捕権の行使によって、議員の活動が妨害されるのを防ぐことを目的として、不逮捕特権が存在すると主張するものです。 

 もう1つは、不逮捕特権は国会議員個人ではなく、各院の正常な活動を保障するためにあるとするものです(議院自律性保障説)。これは、国会議員が逮捕されてしまうと、所属する議院での審議に支障をきたしてしまうので、それを防止するため不逮捕特権が存在するとします。 

 もっとも、これらの説は相互排他的ではなく、国会議員に対する不当な逮捕を防止し、もって議院の自主性を確保すると解すべきとの主張もあります。 

(3)議院の逮捕許諾の基準 

 上記説の争いは、逮捕許諾の基準に影響してきます。すなわち、身体的自由保障説によると、議員の逮捕が不当か否かを基準とするのに対して、議院自律性保障説によると、議院の審議等の障害になるかを基準として判断することになります。 

(4)国会議員のその他の免責特権  

憲法51条は、「両議院の議員は、議員で行った演説、討論、又は表決について、院外で責任を問はれない」としています。 

2.国会議員の不逮捕特権が争われた事例 

 議院が国会議員の逮捕を許諾する際に、期限をつけることが可能かが争われた事例が存在します。 

贈賄の被疑事実がある国会議員Xを逮捕するため、Xが所属する衆議院に逮捕の許諾を求めました。これに対し、衆議院は逮捕に期限を付してこれを許諾しました。逮捕は執行され、その後勾留もなされました。この勾留にはなんら期限が付されていなかったことから、国会議員Xは、何ら期限を付さない勾留裁判は違法であるとして、準抗告(刑訴429条、裁判官の決定に対する不服申し立て)しました。 

準抗告を受けた東京地裁は、「憲法50条…は,国の立法機関である国会の使命の重大である点を考慮して,現に国会の審議に当っている議院の職務を尊重し,議員に犯罪の嫌疑がある場合においても苟も犯罪捜査権或は司法権の行使を誤り又はこれを濫用して国会議員の職務の遂行を不当に阻止阻害することのないよう,院外における現行犯等逮捕の適法性及び必要性の明確な場合を除いて各議院自らに所属議員に対する逮捕の適法性及び必要性を判断する権能を与えたもの解しなければならない。…議員に対しては一般の犯罪被疑者を逮捕する場合よりも特に国政審議の重要性の考慮からより高度の必要性を要求することもあり得るから,このような場合には尚これを不必要な逮捕として許諾を拒否することも肯任し得るけれども、苟も右の観点において適法にして且必要な逮捕と認める限り無条件にこれを許諾しなければならない。」として、申立を棄却しました(東京地裁昭和29年3月6日決定)。 

この裁判例は、議院が逮捕を許諾する以上、無条件にこれを認めなければならないとしました。 

 この点、学説は様々であり、身体的自由保障説をとりながら期限付許諾を認める説、認めない説、議院自律性保障説をとりながら期限付許諾を認める説、認めない説があります。 

これを認める説は、拒否が可能である以上、期限付許諾が可能であると主張します。他方、これを認めない説は、許諾を与える以上は刑事訴訟手続きに従い、検察官・裁判所の判断に委ねるべきであるとします。 

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