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[解説] 国籍法違憲判決②(法の下の平等):最高裁平成20年6月4日大法廷判決

Point 

1.立法目的に合理的な根拠が認められない、又は、立法目的と具体的な区別の間に合理的関連性が認められない場合には,合理的な理由のない差別として憲法14条1項に違反する

2.国籍法3条1項は、立法目的と具体的な区別の間に合理的関連性を欠き、不合理な差別であるため、憲法14条1項に反し違憲である

3.国籍法3条1項の違憲部分を除いた規定について合理的な解釈を行い、原告を救済した 

①はこちら
 
 
 
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そして、最高裁は、憲法14条1項は不合理な差別的取扱いを禁止する規定であることを確認します。 

 

「憲法14条1項は,法の下の平等を定めており,この規定は,事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り,法的な差別的取扱いを禁止する趣旨であると解すべきことは,当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁,最高裁昭和45年(あ)第1310号同48年4月4日大法廷判決・刑集27巻3号265頁等)。」 

 

そして、国籍に関して定めている憲法10条は、国籍の得喪に関する要件をどのように定めるかにつき、立法府の裁量に委ねる趣旨の規定だが、これにより定められた規定が合理的理由のない差別的取扱いならば憲法14条1項に反し違憲であるとします。

 

「憲法10条…を受けて,国籍法は,日本国籍の得喪に関する要件を規定している。憲法10条の規定は,国籍は国家の構成員としての資格であり,国籍の得喪に関する要件を定めるに当たってはそれぞれの国の歴史的事情,伝統,政治的,社会的及び経済的環境等,種々の要因を考慮する必要があることから,これをどのように定めるかについて,立法府の裁量判断にゆだねる趣旨のものであると解される。しかしながら,このようにして定められた日本国籍の取得に関する法律の要件によって生じた区別が,合理的理由のない差別的取扱いとなるときは,憲法14条1項違反の問題を生ずることはいうまでもない。」 

 

そして、これに基づき定められた規定が違憲か否かは、立法府による裁量権を考慮し①立法目的に合理的根拠があるか②立法目的と具体的に行われた区別の間に合理的関連性が認められるかで決定されるとします。

 

「すなわち,立法府に与えられた上記のような裁量権を考慮しても,なおそのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合,又はその具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合は,当該区別は,合理的な理由のない差別として,同項に違反するものと解されることになる。」 

 

なお、嫡出子たる身分を取得するか否かで国籍を付与するかを決するとする本件規定の区別には、以下の理由から慎重な検討が必要とします。 

①国籍は国家の構成員であるための資格で、様々な権利(基本的人権、公的給付を受ける権利等)が保障されるための要件である 

②嫡出子たる身分の取得は父母が結婚するか否かで決まるが、これは子の意思や努力によっては変えられない事柄である 

 

「日本国籍は,我が国の構成員としての資格であるとともに,我が国において基本的人権の保障,公的資格の付与,公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもある。一方,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かということは,子にとっては自らの意思や努力によっては変えることのできない父母の身分行為に係る事柄である。したがって,このような事柄をもって日本国籍取得の要件に関して区別を生じさせることに合理的な理由があるか否かについては,慎重に検討することが必要である。」 

 

そして、以下の理由により、立法目的に合理性があるとします。 

①国籍法3条1項は血統主義を補完する規定である、つまり、結婚していない父(日本国籍)と母(日本国籍でない)の子につき、父母の結婚と認知(準正)など一定の要件を満たした場合に日本国籍を認めることで、結婚している父母から生まれた子が生来的に日本国籍を取得できることとの均衡を図ったものである 

②日本国籍の父による認知だけでなく、準正があった場合にのみ日本国籍を与えたのは、父母の結婚により、子は父と共に生活することになり日本社会との密接な結びつきが生じるため 

③本条制定時には、準正を国籍取得要件とする国が多かった 

 

「国籍法3条の規定する届出による国籍取得の制度は,法律上の婚姻関係にない日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した子について,父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得すること(以下「準正」という。)のほか同条1項の定める一定の要件を満たした場合に限り,法務大臣への届出によって日本国籍の取得を認めるものであり,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した嫡出子が生来的に日本国籍を取得することとの均衡を図ることによって,同法の基本的な原則である血統主義を補完するものとして,昭和59年法律第45号による国籍法の改正において新たに設けられたものである。そして,国籍法3条1項は,日本国民である父が日本国民でない母との間の子を出生後に認知しただけでは日本国籍の取得を認めず,準正のあった場合に限り日本国籍を取得させることとしており,これによって本件区別が生じている。このような規定が設けられた主な理由は,日本国民である父が出生後に認知した子については,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得することによって,日本国民である父との生活の一体化が生じ,家族生活を通じた我が国社会との密接な結び付きが生ずることから,日本国籍の取得を認めることが相当であるという点にあるものと解される。また,上記国籍法改正の当時には,父母両系血統主義を採用する国には,自国民である父の子について認知だけでなく準正のあった場合に限り自国籍の取得を認める国が多かったことも,本件区別が合理的なものとして設けられた理由であると解される。日本国民を血統上の親として出生した子であっても,日本国籍を生来的に取得しなかった場合には,その後の生活を通じて国籍国である外国との密接な結び付きを生じさせている可能性があるから,国籍法3条1項は,同法の基本的な原則である血統主義を基調としつつ,日本国民との法律上の親子関係の存在に加え我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を設けて,これらを満たす場合に限り出生後における日本国籍の取得を認めることとしたものと解される。このような目的を達成するため準正その他の要件が設けられ,これにより本件区別が生じたのであるが,本件区別を生じさせた上記の立法目的自体には,合理的な根拠があるというべきである。」 

③はこちら

 

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