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[解説] 再婚禁止期間の合憲性③(法の下の平等):最高裁平成 27 年 12 月 16 日大法廷判決

Point 

1.憲法24条2項は,婚姻及び家族に関する事項について,国会の合理的な立法裁量に委ねた規定である 

2.婚姻をする自由は憲法24条1項の趣旨に照らし、十分に尊重に値するとします。 

3.立法目的に合理的な根拠があり,かつ,その区別の具体的内容が上記の立法目的との関連において合理性を有するものであるかどうかという観点から、再婚禁止期間が平等原則に反しないかを審査し、これを一部違憲とした 

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これに対し、100 日を超える部分は父性の推定の重複を避けるために必要な期間とは言えないとします。まず、以下の事情を指摘し、かつては、一定の幅のある期間で再婚禁止期間を設けることは不合理ではなく、立法府の裁量の範囲を超えていなかったとします。 

①かつての専門家は懐胎後半年を経たないと懐胎の有無を確定できなかった 

②幅のある期間を設けたのは、父子関係を確定させるための科学技術等が未発達である 

状況下で様々な混乱を回避するため 

③諸外国では 10ヵ月の再婚禁止期間を定める事例が見られた 

 

「これに対し,本件規定のうち100日超過部分については,民法772条の定める父性の推定の重複を回避するために必要な期間ということはできない。旧民法767条1項において再婚禁止期間が6箇月と定められたことの根拠について,旧民法起草時の立案担当者の説明等からすると,その当時は,専門家でも懐胎後6箇月程度経たないと懐胎の有無を確定することが困難であり,父子関係を確定するための医療や科学技術も未発達であった状況の下において,再婚後に前夫の子が生まれる可能性をできるだけ少なくして家庭の不和を避けるという観点や,再婚後に生まれる子の父子関係が争われる事態を減らすことによって,父性の判定を誤り血統に混乱が生ずることを避けるという観点から,再婚禁止期間を厳密に父性の推定が重複することを回避するための期間に限定せず,一定の期間の幅を設けようとしたものであったことがうかがわれる。また,諸外国の法律において10箇月の 再婚禁止期間を定める例がみられたという事情も影響している可能性がある。上記のような旧民法起草時における諸事情に鑑みると,再婚禁止期間を厳密に父性の推定が重複することを回避するための期間に限定せず,一定の期間の幅を設けることが父子関係をめぐる紛争を未然に防止することにつながるという考え方にも理解し得る面があり,このような考え方に基づき再婚禁止期間を6箇月と定めたことが不合理であったとはいい難い。このことは,再婚禁止期間の規定が旧民法から現行の民法に引き継がれた後においても同様であり,その当時においては,国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超えるものであったとまでいうことはできない。」 

 

しかし、科学技術等が発達した現在においては、以下の事情も踏まえると、100 日を超えて一定の幅のある期間を設けることを正当化できないとします。 

①晩婚化の進行、離婚・再婚数の増加のため、再婚に対する制約を減らす要請がある 

②諸外国では再婚禁止期間の廃止が進んでいる 

③婚姻をするについての自由は、憲法24条1項の規定の趣旨に照らし十分尊重されるべき 

④再婚の場合のみ婚姻を禁止するのは不当→再婚でなくとも妻が懐胎以前から妊娠していることがあり得る 

 

「しかし,その後,医療や科学技術が発達した今日においては,上記のような各観点から,再婚禁止期間を厳密に父性の推定が重複することを回避するための期間に限定せず,一定の期間の幅を設けることを正当化することは困難になったといわざるを得ない。加えて,昭和22年民法改正以降,我が国においては,社会状況及び経済状況の変化に伴い婚姻及び家族の実態が変化し,特に平成期に入った後においては,晩婚化が進む一方で,離婚件数及び再婚件数が増加するなど,再婚をすることについての制約をできる限り少なくするという要請が高まっている事情も認めることができる。また,かつては再婚禁止期間を定めていた諸外国が徐々にこれを廃止する立法をする傾向にあり,ドイツにおいては1998年(平成10年)施行の「親子法改革法」により,フランスにおいては2005年(平成17年)施行の「離婚に関する2004年5月26日の法律」により,いずれも再婚禁止期間の制度を廃止するに至っており,世界的には再婚禁止期間を設けない国が多くなっていることも公知の事実である。それぞれの国において婚姻の解消や父子関係の確定等に係る制度が 異なるものである以上,その一部である再婚禁止期間に係る諸外国の立法の動向は,我が国における再婚禁止期間の制度の評価に直ちに影響を及ぼすものとはいえないが,再婚をすることについての制約をできる限り少なくするという要請が高まっていることを示す事情の一つとなり得るものである。そして,上記のとおり,婚姻をするについての自由が憲法24条1項の規定の趣旨に照らし十分尊重されるべきものであることや妻が婚姻前から懐胎していた子を産むことは再婚の場合に限られないことをも考慮すれば,再婚の場合に限って,前夫の子が生まれる可能性をできるだけ少なくして家庭の不和を避けるという観点や,婚姻後に生まれる子の父子関係が争われる事態を減らすことによって,父性の判定を誤り血統に混乱が生ずることを避けるという観点から,厳密に父性の推定が重複することを回避するための期間を超えて婚姻を禁止する期間を設けることを正当化することは困難である。他にこれを正当化し得る根拠を見いだすこともできないことからすれば,本件規定のうち100日超過部分は合理性を欠いた過剰な制約を課すものとなっているというべきである。」 

 

結論として、本件規定の内 100 日を超える部分は憲法 14 条 1 項、24 条 2 項に反するとしました。 

 

「以上を総合すると,本件規定のうち100日超過部分は,遅くとも上告人が前婚を解消した日から100日を経過した時点までには,婚姻及び家族に関する事項について国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超えるものとして,その立法目的との関連において合理性を欠くものになっていたと解される。以上の次第で,本件規定のうち100日超過部分が憲法24条2項にいう両性の本質的平等に立脚したものでなくなっていたことも明ら かであり,上記当時において,同部分は,憲法14条1項に違反するとともに,憲法24条 2項にも違反するに至っていたというべきである。」

 

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