恐喝という言葉はみなさんご存じだと思います。恐喝罪は、他人を恐喝して財物を交付させた、又は財産上の利益を得た場合に成立します(刑法249条)。同罪は未遂も処罰されます(刑法250条)。恐喝罪は詐欺罪と同じく、瑕疵ある意思に基づいて財産等を得る犯罪です。
・刑法249条1項 「人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」
・2項 「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」
・刑法250条 「この章の罪の未遂は、罰する。」
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*財物については窃盗罪についての記事で解説しています。
恐喝とは、他人を畏怖させる程度の暴行・脅迫を指します。
- Xは、Yに対し「金をよこせ。よこさないなら痛い目に合わせるぞ」と述べ、これに畏怖したYから金銭を得た。
Xの上記行為は、Yを畏怖させる程度の脅迫なので、恐喝したと言えます。
恐喝罪が既遂となるには、①恐喝②相手方の畏怖③財産の交付(不正の利益の享受)④これらの流れにつき因果関係があることが必要です。上記例でYは、Xの恐喝行為により畏怖し、金銭をXに交付していますので、Xに恐喝罪が成立します。
- Xは深夜、ナイフを持ってY宅に押し入り、「金をよこせ。よこさないなら痛い目に合わせるぞ」と述べ、犯行を抑圧されたYから金銭を得た。
恐喝罪と強盗罪は似ている犯罪です。両罪の違いは、暴行・脅迫が犯行を抑圧する程度のものであったか否かです。犯行を抑圧する程度の暴行・脅迫が加えられた場合、強盗罪の成否が問題となります。上記例でXは犯行を抑圧するに至る程度の暴行を加え、金銭を得ているので、強盗罪が成立します。
・刑法251条 「第242条、第244条及び第245条の規定は、この章の罪について準用する。」
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