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横領罪(刑法252条)とは?わかりやすく解説! 

Last Updated on 2021年9月20日

 

 窃盗罪は、他人が占有する財物を窃取した場合に成立する犯罪でした。 

 

*窃盗罪の解説はこちら 

 

 他方で、自分が占有する他人の財物を不法に領得した場合には、横領罪が成立します。 

 

横領の罪といわれる犯罪には、以下の3種類があります。 

 

  1. 委託物横領罪(刑法252条)・・・他人からの委託信任関係に基づき他人の物を占有している者が横領した場合に成立 
  2. 業務上横領罪(刑法253条)・・・業務上他人の物を占有している者が横領した場合に成立 
  3. 占有離脱物横領罪(刑法254条)・・・占有を離れた他人の物を横領した場合に成立 

 

・刑法252条1項 「自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。」 

・2項 「自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。」 

・刑法253条 「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。」 

・刑法254条 「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」 

 

 先述のように、横領罪が成立するためには、他人が所有権を有する財物を、自己が占有している必要があります。また、①委託物横領罪②業務上横領罪が成立するには、占有が他人の委託信任に基づくものであることが必要です。  

 

例1 Xは、YからPCを預かっていたが、お金に困っていたため、これを売却した。 

 

 横領罪の占有は、物を事実上・法律上支配している状態をいいます。 

 

 例1では、XはPCを預かっているので、委託信任関係に基づいて、事実上これを支配していると言えます。もっとも、Xは業務上PCを占有しているわけではありませんので、この場合、委託物横領罪が成立する可能性があります。 

 

例2 XはYから金銭を預かりこれを自己の預金口座に振り込んで預かっていた。にもかかわらずXは、無断で預かっていた金銭を引き出しパチンコに使った。 

 

 この例でXは、預かった金銭を事実上支配しているわけではありません。しかし、金銭は自己の口座で保管しており、これをいつでも引き出せる状態にあります。そのため、Xは預かっている金銭を法律上支配しているといえ、これを引き出しパチンコに使った行為に委託物横領罪が成立します。 

 

 判例・通説によると、横領とは、不法領得の意思の発現行為を言います。ここでいう不法領得の意思とは、他人の物の占有者が、委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに、所有者でなければできないような処分をする意思を言います。例①、②では、自己が占有する他人の物を、権限がないのに売却・浪費しているので、横領したといえます。 

 

例3 Xは、公園に落ちていたY(遠く離れた自宅にいた)の財布を拾い、入っていた金銭をパチンコに使った。 

 

 Yの財布は公園に落ちており、誰の占有下にもありません。これを横領したXには、占有離脱物横領罪が成立します。 

 

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