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準強制わいせつ罪・準強制性交等罪(刑法178条)とは?わかりやすく解説! 

Last Updated on 2020年10月16日

  強制わいせつ罪・強制性交等(刑176条、177条)は、暴行・脅迫を用いてわいせつな行為等をした場合に成立します。 

 

他方、準強制わいせつ罪・準強制性交等罪(刑178条)は、暴行・脅迫を用いた場合以外で、被害者の抵抗困難にしてわいせつな行為等をした場合に成立します。 

 

・刑法178条1項 「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。」 

・同条2項 「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。」 

・刑法180条 「176条から前条までの罪の未遂は、罰する。」 

 

 両罪は、人を心神喪失・抗拒不能にしてわいせつな行為・性交等をした場合に成立します。 

 

*強制わいせつ罪・強制性交等罪の説明(わいせつの概念等)はこちら 

 

1.心神喪失とは 

 

 心神喪失とは、泥酔・失神等により、自己に対してわいせつな行為等が行われていることの認識を欠く場合を言います。 

 

例① Aは、Bに睡眠薬を飲ませて眠らせ、わいせつな行為をした。 

 

この場合、AはBを心神喪失させてわいせつな行為をしているので、準強制わいせつ罪が成立します。 

 

例② Aは、泥酔していたBを見つけたので、それに乗じてわいせつな行為をした。 

 

心神喪失状態は犯人自ら惹起する必要はなく、その状態に乗じてわいせつな行為を行った場合でも準強制わいせつ罪等は成立します。そのため、本件でもAに準強制わいせつ罪が成立します。 

 

2.抗拒不能とは 

 

 抗拒不能とは、自己に対するわいせつな行為等が行われていることは認識しているが、物理的・心理的に抵抗が不可能ないし困難な場合を言います。 

 

例③ Aは、Bに治療が必要だと偽りわいせつな行為をした。  

 

Bは、自己の治療のためだと勘違いしてわいせつな行為を甘受しています。このような場合、Bは心理的に抵抗することが困難な状況にあると言えます。そのため、Aに準強制わいせつ罪が成立します。 

  

例④ Aは、Bを脅迫して抵抗が不可能な状況に陥らせ、わいせつな行為をした。 

 

この場合、Bは抵抗が不可能な状況になっていますが、Aの行った手段は脅迫です。脅迫をして相手の抵抗を困難にし、わいせつな行為等をした場合には、準強制わいせつ罪等ではなく強制わいせつ罪等が成立します。したがって、この事例ではAに強制わいせつ罪が成立します。 

 

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