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強要罪(刑法223条)とは?わかりやすく解説!

Last Updated on 2020年10月16日

 

 強要罪(刑223条)は、暴行・脅迫を用いて、相手の権利行使を妨害したり、義務のないことを行わせたりした場合に成立します。  

 

・刑法223条1項 「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。」 

・同条2項 「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。」 

・同条3項 「前2項の罪の未遂は、罰する。 

 

 強要罪は、意思決定に基づく行動の自由を保障しています。強要罪は、脅迫罪(刑222条)と異なり、未遂も罰せられます(刑223条3項)。 

 

*脅迫罪の説明はこちら 

 

1.強要罪の内容 

 

 本罪の「脅迫」は脅迫罪と同様に、相手方を畏怖させるに足る害悪の告知です。 

 

例① Aは、Bに借金をしていた。借金を返す日になり、Bは借金を返してもらおうとAの家を訪ねた。すると、Aは「借金をチャラにしろ。そうでないと、お前の家を燃やすぞ」と言った。畏怖したBは、借金を返してもらうのを諦めた。  

 

 Aは、Bの財産(家)に害を加える旨を告知し、これに畏怖したBの権利行使を妨害していますから、Aに強要罪が成立します。 

 

例② 事業主であるAは、法人Bに「うちの商品を買え。そうしないと、虚偽の情報を流布してB社の評判を下げるぞ」と言った。評判を下げられることを恐れたB社は、仕方なくAの売る商品を購入した。 

 

脅迫罪と同様に、本罪の客体に法人を含むかについては、肯定説、否定説があります。肯定説をとると、この場合、Aに強要罪が成立します。 

 

例③ Aは、Bに「金を貸さないと痛めつけるぞ」と言った。Bは畏怖しなかったが、Aを可哀そうに思い、金を貸してあげた。 

 

強要罪が成立するには、脅迫・暴行→意思抑圧→結果といった因果関係の流れが必要です。この場合、Bは哀れみの気持ちでAに金銭を貸しています。そのため、意思抑圧を欠くので、Aには強要罪は成立せず、強要未遂罪にとどまります。 

 

例④ Aは、Bに借金をしていた。Aは、この借金を踏み倒そうとBの家に行き、Bの子供Cに暴行を加え、「やめてほしければ、借金をチャラにしろ」と言った。Bは仕方なく借金を帳消しにした。 

 

強要罪では、親族に対する行為に暴行は含まれていません。(223条2項)本件で、Aが行ったのは、Bの親族(C)に対する暴行です。そのためBに対する強要罪は成立せず、Cに対する暴行罪のみが成立するように思われます 

 

もっとも、その後に言った「やめてほしければ~」というセリフは親族Cの身体に対し害を加える旨を告知しBを脅迫したと言えます。そのため、結果的にBに対する強要罪(2項)成立します。 

 

 このように、2項の規定する親族に対する行為暴行が含まれていないことに注意しましょう。親族に対し暴行を加えただけでは、2項の強要罪は成立しないのです。もっとも、親族や物に対する暴行は、親族に対する脅迫、又は、本人に対する脅迫として評価することが可能です 

 

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