契約は当事者の意思表示が合致することによって成立します。もっとも、当事者の表示と契約時の意思に食い違いがあり、紛争となることがあります。その際には、当事者の意思と表示、どちらを重視するかが問題になります。前者を重視する立場を意思主義、後者を重視する立場を表示主義と言います。
*意思表示の解説はこちら
契約等の法律行為により権利・義務が当事者に帰属するのは、当事者がそれを自ら望んだことを根拠とします。そうすると、合意の内容を特定する際にも、契約時の当事者の意思を重視すべきとも思われます。しかし、当事者の意思は主観的なものであり、表示は合致しているが、実際の意思は異なっているとして、契約は不成立としてしまうのは問題があります。
このように考えると、意思主義、表示主義片方に偏るのではなく、状況に合わせて両者を使い分けるのが妥当です。民法は、折衷的な立場をとっています。
*心裡留保(民93条)の解説はこちら
*虚偽表示(民94条)の解説はこちら
*錯誤(民95条)の解説はこちら
*詐欺・強迫(民96条)の解説はこちら