この火炎びんの使用等の処罰に関する法律は、その名の通り、火炎びんの製造や使用を禁止する法律です。この法律は、昭和47年(1972年)に制定されたもので今もなお効力を有します。
同法当時、火炎びんを使用した集団的な行動が多数行われており、これにより、一般人や警察官らが死傷する事案が度々発生してました。しかし、火炎びんは爆発物取締罰則の爆発物に当たらないため(最高裁昭和31年6月27日大法廷判決)、これを直接処罰する法律が必要でした。そのため同法が制定されました(*)。
*上記につき 第68回国会 衆議院 法務委員会 第8号 昭和47年3月21日 高橋英吉発言
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=106805206X00819720321¤t=41
火炎びんとは、容器にガソリン等の引火しやすい物質を入れ、これらが流出等した場合に燃焼させるための仕掛けを施した物で生命・身体等に害を加えるのに使用される者を言います(1条)。
・1条 「この法律において、「火炎びん」とは、ガラスびんその他の容器にガソリン、灯油その他引火しやすい物質を入れ、その物質が流出し、又は飛散した場合にこれを燃焼させるための発火装置又は点火装置を施した物で、人の生命、身体又は財産に害を加えるのに使用されるものをいう。」
火炎びんを使用して人の生命等に危険を生じさせた場合7年以下の懲役に処されます(2条1項)。この危険は、具体的なものが要求されます(具体的危険犯)。火炎びんの製造、所持も処罰されます(3条。3年以下の懲役又は10万円以下の罰金)。
・2条1項 「火炎びんを使用して、人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者は、七年以下の懲役に処する。」
・3条1項 「火炎びんを製造し、又は所持した者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」
近年では、ビールびんにシンナーを入れるなどして作成した火炎びんを使用した事案で、有罪判決が出されています(函館地判令和3年9月21日LEX/DB25591019)。