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不真正不作為犯とは?わかりやすく解説! 

 

例① Aは、Bをナイフで刺して殺害した。 

例② Aは、Bを殴った 

 Aは、Bに「お前を痛めつけてやる」と言って脅迫した。 

 

作為とは、ある動作をすることを指します。これらの場合、Aに作為による殺人罪、暴行罪、脅迫罪が成立します。 

 

*殺人罪の説明はこちら 

*暴行罪の説明はこちら 

*脅迫罪の説明はこちら 

 

ご存知のように、犯罪は作為によって実現する場合がほとんどです。もっとも、刑法の中には不作為(ある動作をしないこと)を処罰する規定も存在します。 

 

 Aは、生後1ヵ月である子供Bの世話をしなかった。その結果、Bは死亡した。 

 

刑法218条は、保護責任者遺棄罪を定めています。条文を見てみると、不保護も処罰対象となっています。この場合、Aは保護責任者の地位にあります。保護責任者であるAは、Bを保護しなかったので保護責任者遺棄罪(致死罪、219条)が成立します。 

 

・刑法218条 「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。 

・刑法219条 「2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。 

 

*保護責任者遺棄罪の説明はこちら 

 

保護責任者遺棄罪のように、明文で規定されている不作為犯を真正不作為犯と言います。 

 

他方、不真正不作為犯とは、明文で不作為が処罰対象とされていない犯罪を不作為により実現する場合を指します。先述のように、殺人罪は、保護責任者遺棄罪とは異なり、不作為が明文で処罰対象とされていませんしかし、不作為により「人を殺した」と評価できるもあります。そこで不真正不作為犯が成立する場合があるとされています 

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例⑤ Aは、川でおぼれているBを見つけた。このままだとBは死ぬかもしれないと思ったが、助けずに素通りした。その後、Bは溺死した。 

 

この例の場合Aに不作為による殺人罪が成立するでしょうか?確かに、道徳上人助けをするべきだ、と考える人もいると思います。しかし、人助けをすることを法的義務とした場合、Aその他の行為をしてはいけないことになります。の点で、Aの自由を制限することになります。 

 

また、この場合に人助けをしなかった、つまり、期待され行為をしなかった場合、A殺人罪等で処罰することになりますこれは、いくら人助けをするべきといっても、やりすぎと思われます。 

 

このことから分かるように、不真正不作為犯を何でもかんでも認めてしまうと、人の自由を過度に制限し、また、処罰範囲不当に拡大するので、解釈により限定をかける必要があります 

 

一般に、不真正不作為犯が成立するためには、①作為義務②作為の可能性・容易性が必要と解されています。作為義務の要件を課すことにより、不真正不作為犯の主体を限定します。また、作為の可能性・容易性は、「法は不可能を強いず」という観点から課される要件と言えます。 

 

 Aは、入院中のBの治療を親族に頼まれ、医師に無断でBをホテルに連れ出した。そこで、Bの命は全面的にAに委ねられていた。しかしその後、Bは危篤状態となったが、AはBが死ぬことを認識しつつ、何も措置を取らずにBを死亡させた。  

 

これは、判例で実際にあった事案を簡略化したものです。作為義務が認められる根拠として、法律、契約、先行行為・排他的支配等の条理など様々なものが挙げられます。 

 

本件でAはBを外に連れ出し危険な状態を生じさせています。また、Bの生命は全面的にAに委ねられていました。そのため、Aに救急車を呼びBに治療を受けさせる作為義務ったと言えますまた、救急車を呼ぶ等の措置はAに可能であり、これをすることは容易なので、作為の可能性・容易性が認められます。加えて、Aは、このままだとBが死ぬことを認識しています。 

 

したがって、Aに不作為による殺人罪が成立します。 

 

*判例についてはこちら

 

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