ギボンズ対オグデン事件:Gibbons v. Ogden(1824)

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アメリカの連邦議会の権限は、日本とは異なり限定的です。日本の憲法とアメリカの憲法を見比べてみればわかるように、アメリカの連邦議会が規制することができるのは、課税、郵便、戦争等に限られ、その他の規制は各州に委ねられます(日本国憲法にはそのような限定はない)。日本では問題になることはほとんどありませんが、アメリカでは、連邦議会に規制権限があるか?といったことが度々問題になります。かつて問題となったのが、連邦議会に州間の航海を権限する権限があるか否かです。ギボンズ対オグデン事件は、この問題を処理した約200年前の判例です。 

 

1.事案の概要 

ニューヨーク州法は、Aaron Ogdenの会社に、州内の水域における蒸気船の独占航海権を与えていました。ところが、連邦法によって航海の許可を受けていたThomas Gibbonsは、ニューヨーク州法を無視し、ニュージャージー州からニューヨーク州に蒸気船を航海させるビジネスを始めました。そこで、Ogdenは訴えを提起しました。 

 

2.判旨 

 争点は、連邦議会に州間の航海を規制する権限が与えられているか否かです。連邦議会には、以下の権限が与えられています。 

 

Article.Ⅰ. 

Section. 8. 

Clause. 1 The Congress shall have Power~ 

~ 

Clause. 3 To regulate Commerce with foreign Nations, and among the several States, and with the Indian Tribes; 

(日本語訳)

第1章[立法府] 

第8条[連邦議会の立法権限] 

第1項 連邦議会は、次の権限を有する。~ 

~ 

第3項 諸外国との通商、各州間の通商およびインディアン部族との通商を規制する権限。

 

 ここで問題となるのは、commerceが意味するのは具体的にどのようなものかです。法廷意見は、Ogdenの主張(commerceは交通や売買等限定的に解釈するべきで、航海はこれに含まれない)を退け、commerceは人と人とが接触する商業活動全般を指し、航海を含むと解しました。 

 

 結論として、法廷意見は、ニューヨーク州法を違憲としました。 

 

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