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[解説] 宗教法人オウム真理教解散命令事件②(信教の自由):最高裁平成8年1月30日第一小法廷決定 

Point 
1.宗教法人オウム真理教に対する解散命令は、必要でやむを得ない法的規制であるので憲法20条1項に反しない 

 

①はこちら

もっとも、解散命令が確定した場合は、清算手続きによってその施設や財産等も処分され、団体の存続や再結成に支障をきたすので、信教の自由の重要性に鑑み憲法がそのような規制を許容するか否かを検討するべき、とします。

 

「…宗教法人の解散命令が確定したときはその清算手続が行われ(法四九条二項、五一条)、その結果、宗教法人に帰属する財産で礼拝施設その他の宗教上の行為の用に供していたものも処分されることになるから(法五〇条参照)、これらの財産を用いて信者らが行っていた宗教上の行為を継続するのに何らかの支障を生ずることがあり得る。このように、宗教法人に関する法的規制が、信者の宗教上の行為を法的に制約する効果を伴わないとしても、これに何らかの支障を生じさせることがあるとするならば、 憲法の保障する精神的自由の一つとしての信教の自由の重要性に思いを致し、憲法がそのような規制を許容するものであるかどうかを慎重に吟味しなければならない。」  

 

上記の観点から、以下のことを指摘し、本件解散命令は、Yやその信者らの精神的・宗教的側面に及ぼす影響を考慮しても、Yの行為に対処するのに必要でやむを得ない法的規制であるとしました。 

①宗教法人の解散命令の制度は、宗教法人の世俗的側面を対象としているので、宗教団体や信者の精神的・宗教的側面に介入するものではなく、その制度の目的も合理的である  

②本件では、Yの信者らが施設等を利用し、大量殺人を目的として組織的にサリンの生成に及んでいるので、Yが著しく公共の福祉を害すると明らかに認められ、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたことが明らかである  

③上記の行為に対処するには、Yを解散し、その法人格を失わせることが必要かつ適切である  

④解散命令によって宗教団体であるYやその信者らが行う宗教上の行為に、何らかの支障を生じても、その支障は、解散命令に伴う間接的で事実上のものであるにとどまる  

⑤また、本件解散命令は、裁判所の司法審査によって発せられたものなので、その手続の適正も担保されている  

 

「このような観点から本件解散命令について見ると、法八一条に規定する宗教法人の解散命令の制度は、前記のように、専ら宗教法人の世俗的側面を対象とし、かつ、 専ら世俗的目的によるものであって、宗教団体や信者の精神的・宗教的側面に容かいする意図によるものではなく、その制度の目的も合理的であるということができる。そして、原審が確定したところによれば、抗告人の代表役員であったD及びその指示を受けた抗告人の多数の幹部は、大量殺人を目的として毒ガスであるサリンを大量に生成することを計画した上、多数の信者を動員し、抗告人の物的施設を利用し、抗告人の資金を投入して、計画的、組織的にサリンを生成したというのであるから、抗告人が、法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められ、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたことが明らかである。抗告人の右のような行為に対処するには、抗告人を解散し、その法人格を失わせることが必要かつ適切であり、他方、解散命令によって宗教団体であるオウム真理教やその信者らが行う宗教上の行為に何らかの支障を生ずることが避けられないとしても、その支障は、解散命令に伴う間接的で事実上のものであるにとどまる。したがって、本件解散命令は、宗教団体であるオウム真理教やその信者らの精神的・宗教的側面に 及ぼす影響を考慮しても、抗告人の行為に対処するのに必要でやむを得ない法的規制であるということができる。また、本件解散命令は、法八一条の規定に基づき、裁判所の司法審査によって発せられたものであるから、その手続の適正も担保されている。」  

 

最高裁は、宗教上の行為の自由は最大限に尊重すべきものであるが、絶対無制限のものではないとします。そして、以上のことを鑑みれば、原審での本件解散命令と抗告棄却の決定は憲法20条1項には違反しない、としました。 

 

「宗教上の行為の自由は、もとより最大限に尊重すべきものであるが、絶対無制限のものではなく、以上の諸点にかんがみれば、本件解散命令及びこれに対する即時抗告を棄却した原決定は、憲法二〇条一項に違背するものではないというべきであり、このように解すべきことは、当裁判所の判例(最高裁昭和三六年(あ)第四八 五号同三八年五月一五日大法廷判決・刑集一七巻四号三〇二頁)の趣旨に徴して明らかである。」    

 

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