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【判例解説】賄賂②(刑法各論):最決昭和63年7月18日 

Last Updated on 2022年8月14日

 

Point 
1.株式の公開価格での提供が賄賂にあたるとされた事例 

 

【争点】 

・株式の公開価格での提供は賄賂にあたるか 

 

 



1.判旨と解説 

 

賄賂罪が成立するには、賄賂を収受等する必要があります。賄賂とは、不正な利益の一切をいい、有形無形を問いません。 

 

*賄賂罪の解説はこちら 

 

 本件で被告人は、東京証券取引所等において新規上場される株式を、公開価格で取得しています。最高裁は、右株式は上場時にはその価格が確実に公開価格を上回ると見込まれること、これを公開価格で取得することは一般人にとつては極めて困難であった事を指摘し、右株式を公開価格で取得できる利益自体が、賄賂罪の客体になるとしました。 

 

なお、原判決の認定によれば、本件は、殖産住宅相互株式会社、日本電気硝子株式会社その他の株式会社の株式が東京証券取引所等において新規に上場されるに先立ち、あらかじめその株式が公開された際、贈賄側の者が公開に係る株式を公開価格で提供する旨の申し出をし、収賄側の者がこれを了承してその代金を払い込むなどしたという事案であるが、右株式は、間近に予定されている上場時にはその価格が確実に公開価格を上回ると見込まれるものであり、これを公開価格で取得することは、これらの株式会社ないし当該上場事務に関与する証券会社と特別の関係にない一般人にとつては、極めて困難であつたというのである。以上の事実関係のもとにおいては、右株式を公開価格で取得できる利益は、それ自体が贈収賄罪の客体になるものというべきであるから、これと同趣旨に出た原判断は、正当である。 

 

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