行為能力とは、単独で確定的に有効な法律行為をすることができる能力を言います。
人は皆、権利能力を持っています。そして、自己の意思に基づいて権利義務を形成することが可能です。しかし法は、ある範囲に属する者の一定の行為について制限を設け、単独では確定的に有効な法律行為ができないようにしています。行為能力の制限を受けた者のことを、制限行為能力者と言います。この制度は、行為制限能力者の保護を目的としています。
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民法では、未成年、後見、補佐、補助の4類型を制限行為能力者としています。ここでは、未成年を例にとり説明します。
未成年者(現行法は20歳以上、2022年4月から18歳以上)は、法定代理人(通常は両親)の同意を得なければ、法律行為をすることができません(民法5条1項)。
・民法4条 「年齢二十歳をもって、成年とする。」
・民法5条1項 「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができます。
・同条2項 「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。」
もっとも、例えば、子供にお小遣いとして金銭を与えた場合、これを使用して子供が売買契約を結ぶことは可能です(民5条3項)。
・同条3項 「第1項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。」
制限行為能力者が同意権者の同意を得ずに行った行為などは、取り消しうるのが原則です。しかし、法律行為に際して制限行為能力者が詐術を用いた場合、例外的にその行為は有効となります(民21条)。
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