人は皆権利能力があるため、権利義務の主体となりえます。そのため、行為能力が制限されていたり、意思能力を欠いたりする場合などを除いて、単独で有効に法律行為をすることができます。
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法律行為とは、私法上の権利・義務を発生させる行為をいいます。皆さんがよく知る法律行為の例として、契約が挙げられます。契約が成立すると、当事者には契約内容に沿った権利・義務が帰属します。例えば、本屋で本を2000円で買うことを内容とする売買契約を結んだ場合、買主には本の所有権と引渡請求権が、売主には代金支払請求権が帰属することになります。
その他にも、取消しや解除も法律行為の一種です。両者は、発生した権利義務を消滅させるので、法律行為となるのです。
このように、法律行為が成立することで各人の権利・義務が変動することになるのですが、法律行為の成立には意思表示が必須です。
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法律行為には、契約、単独行為、合同行為があります。
契約は、当事者の相対立する意思表示が合致することで成立する法律行為です。先ほど述べた本の売買契約などが典型例です。
単独行為は、単独人の意思表示により成立する法律行為です。例えば、取消し(民123条)、解除(民540条)は単独の意思表示で契約の取消し・解除といった法律効果が発生しますので、これは法律行為の一種となります。
合同行為とは、当事者の同一方向に向けられた同一の意思表示が合致することで成立する法律行為です。会社の設立などがこれに該当します。
法律行為と共に覚えなければならないものとして、法律要件、法律効果が挙げられます。
法律要件とは、権利・義務の発生、変更、消滅といった法律上の効果を発生させる原因を言います。法律行為は、法律要件の一種です。しかし、法律要件はこれに限られるわけではありません。その他の法律要件として、例えば、不法行為(民709条)が挙げられます。契約等の法律行為がなくとも、ある行為により他人に損害を与えた場合、被害者には損害賠償請求権が発生し、加害者にはこれを支払う義務が発生するため、これも法律要件なのです。
他方、法律効果とは、法律行為等の法律要件により発生した私法上の権利・義務そのものをいいます。契約が成立することにより、目的物の引渡しを請求することが可能になりますが、これは法律効果にあたります。