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傷害罪・傷害致死罪(刑法204条、205条)とは?わかりやすく解説! 

 

 相手に暴行をした場合には暴行罪が成立します(刑208条)。暴行をした結果、相手に傷害を負わせた場合、暴行罪ではなく、傷害罪が成立します。 

 

刑法204条 : 「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。 

・刑法208条 : 「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。 

 

*暴行罪についての解説はこちら 

 

1.傷害罪が成立する具体例 

 「傷害」は、【人の生理的機能の侵害】と定義されます。例えば、相手を打撲、捻挫、骨折、失神等させた場合が挙げられます。また、睡眠障害、PTSD、性病に感染させることも傷害に該当するとされます。 

 

例① AはBに暴行を加え、全治3か月の骨折を負わせた

 

 当然のことですが、傷害を負わせる行為は暴行による場合が多いです。この場合、Aには、傷害罪が成立します。 

 

例② AはBに迷惑電話をかけつづけ、その結果、Bはうつ病になった。

 

 他方、暴行によらない傷害も存在します。この例で、Bうつ病傷害にあたりますので、傷害罪が成立しえます。 

 

例③ AはBに重度の暴行を加えた。その時負った怪我のせいでBは死亡した。 

 

 この場合、AはBを傷害し、もって死に至らしめています。そのため、Aには、傷害罪ではなく、傷害致死罪(刑205条)が成立します。 

 

・刑法205条 :「身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

 



 

2.傷害罪と故意 

 犯罪の成立には故意が必要です(刑38条1項本文)そのため、故意がない場合は犯罪が成立しないのが原則です。他方、「特別の規定」(同条但書過失犯処罰規定等)がある場合、故意がなくても処罰されることがあります。 

 

・刑法38条1項 : 「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。 

 

傷害罪とその周辺の犯罪(暴行罪、殺人罪等)の関係は複雑なので、具体例を使って、いかなる犯罪が成立するかを説明します。 

 

例④ AはBに暴行をしたが、怪我を負わせるつもりはなかった。 

 

 傷害罪は、暴行罪の結果的加重犯を含むと解されています結果的加重犯とは、意図していた結果(暴行)より重い結果(傷害)が生じた場合に、重い結果についての犯罪が成立する場合を指します。この特徴は、故意がない場合でも、重い犯罪が成立するという点です。その点で、結果的加重犯は38条1項但書「特別の規定」にあたります。 

 

暴行罪と傷害罪の関係でいうなら、暴行を行た結果相手が傷害を負った場合、傷害の故意がなくても、傷害罪が成立のです 

 

したがってこの例では、Aに傷害罪が成立します。 

 

また、傷害致死罪も、暴行罪、傷害罪の結果的加重犯と解されています。そのため、上記例で結果的にBが死亡した場合には、たとえ傷害や死についての認識がなくても、傷害致死罪が成立します。 

 

例⑤ AはBを殺すつもりで暴行を加え、その結果Bは死亡した。 

 

 殺意をもって暴行を加え人を殺した場合、傷害致死罪ではなく、殺人(未遂)罪(刑199条)が成立します。 

 

・刑法199条 : 「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。 

 

この場合、Aには殺意がありますので、殺人罪が成立します。 

 

例⑥ AはBに迷惑電話をかけ続け、その結果Bはうつ病になった。しかし、Bをうつ病にするつもりはなかった。

 

 この場合、Aは暴行を行っていませんから、暴行罪は成立することはありませんそれでは傷害罪はどうでしょうか。 

 

暴行による傷害の場合に傷害の故意が不要なのは、傷害罪は暴行罪の結果的加重犯を含むからです。 

 

そうすると、傷害の故意が不要なのは、暴行によって傷害を負わせた場合に限られることになります。そのため、暴行によらない傷害の場合には、原則に戻り(刑38条1項本文)、傷害の故意が必要になると解されます 

 

この例では、Aに傷害の故意はありません。したがって、Aに傷害罪は成立しません。 

 

もっとも、刑法には別に過失致死傷罪(刑法209条・210条)が存在します。そのため、Aには過失傷害が成立する余地があります。 

 

・刑法209条1項 :「過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。 

・同条2項 :「前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」 

・刑法210条 : 「過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。」

 

例⑦ Aは、不注意でBにぶつかってしまい、その結果Bは転んで負傷した。

  

 暴行罪自体は故意犯です。この場合Aに暴行の故意はありません。そのため、Aに暴行罪は成立しません。そして、暴行罪が成立しない以上暴行の結果的加重犯たる傷害罪もまた成立しません。 

 なお、この場合にも、Aに過失傷害罪が成立する余地あります。 

 

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