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【判例解説】詳細な供述調書と実質的相反性(証拠):最決昭和32年9月30日 

 

Point 
1.公判における供述より供述調書の方が詳細な場合も、刑事訴訟法321条1項2号の要件に該当する。 

 

(関連条文) 

・320条1項 「第三百二十一条乃至第三百二十八条に規定する場合を除いては、公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。  

・321条1項柱書 「被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。 

 2号 「検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異なつた供述をしたとき。ただし、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。 

 

【争点】 

・証言より供述調書の方が詳細な場合、相反性があるか 

 

1.判旨と解説 

 

 被告人以外の者を供述者とする供述調書を犯罪事実の認定に用いる場合、その供述調書の多くは伝聞証拠にあたります。そのため、刑事訴訟法321条以下の規定に該当しない限り証拠とすることはできません。 

 

*伝聞証拠の解説はこちら 

*伝聞例外の解説はこちら 

 

 刑事訴訟法321条1項2号は、検察官面前調書の証拠能力について定めています。その要件の1つとして、公判における供述と供述調書の相反性があります。 

 

*伝聞例外の解説はこちら 

 

 原審では、証言の内容よりも調書の内容の方が詳細であることを理由として、共同被告人の調書が証拠として採用されています。最高裁も、このような場合、証言の内容と調書の内容が実質的には異ならないとは言えないから、相反性の要件を満たすとしました。 

 

 「被告人南の上告趣意は、事実誤認、被告人両名の弁護人中村登音夫の上告趣意は、原審で主張も判断もない事項であるばかりでなく、証拠能力のない旨の単なる刑訴法違反の主張であつて何れからしても不適法な上告理由であるところ、所論山本の捜査機関に対する供述調書(否認)は刑訴322条に該当しないとはいえないし(本件が犯罪によるものであることは否定しているが本件船舶沈没事故があつたという外形的事実を承認した点では不利益であり、且つ任意性は争われていない。)、その他相被告人の供述調書は、公判廷における夫々の供述と大綱においては一致しているが、供述調書の方が詳細であつて、全く実質的に異らないものとはいえないのであるから、同32112号の要件をも満たしているということができるから、刑訴法上の違反も存しない。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。 

 

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