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【判例解説】公訴事実の同一性③(公訴の提起):最決昭和53年3月6日

 

Point 
1.加重収賄罪についての訴因と、贈賄罪についての訴因に公訴事実の同一性が認められるとされた事案 

 

(関連条文) 

・刑事訴訟法312条1項 「裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、起訴状に記載された訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許さなければならない。」 

 

【争点】 

・両訴因に公訴事実の同一性は認められるか 

 

1.判旨と解説 

 

 被告人は公務員Xと共謀して、Yから賄賂を収受したという加重収賄罪で起訴されました。その後検察官は、被告人はYと共謀して、公務員Xに賄賂を供与したという贈賄罪についての訴因変更を請求し(予備的訴因)、第1審でこれが認められました。 

 

*訴因変更の可否についての解説はこちら 

 

 第1審の判断を是認した原審について上告がされたところ、最高裁は、両訴因に記載された賄賂に事実上の共通性がある場合には、両罪は両立しない関係にあり(収賄罪が成立すれば贈賄罪は成立しない)、かつ、一連の同一事象に対する法的評価を異にするに過ぎないとして、基本的事実が同一であるとしました。 

 

両訴因では、被告人が贈収賄に関与したことは共通で、異なるのは被告人がどちら側に立って犯罪に関与したか、です。一連の贈収賄の犯罪のうち、双方について自己の犯罪として関与することはできないため、公訴事実の同一性が肯定されたのです。 

 

「被告人甲は、公務員乙と共謀のうえ、乙の職務上の不正行為に対する謝礼の趣旨で、丙から賄賂を収受した」という枉法収賄の訴因と、「被告人甲は、丙と共謀のうえ、右と同じ趣旨で、公務員乙に対して賄賂を供与した」という贈賄の訴因とは、収受したとされる賄賂と供与したとされる賄賂との間に事実上の共通性がある場合には、両立しない関係にあり、かつ、一連の同一事象に対する法的評価を異にするに過ぎないものであつて、基本的事実 関係においては同一であるということができる。したがつて、右の二つの訴因の間に公訴事実の同一性を認めた原判断は、正当である。」  

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