心裡留保(民法93条)とは?わかりやすく解説!
Last Updated on 2021年2月14日
心裡留保とは、表意者が真意でないことを知って行う意思表示を指します。
・民法93条1項:意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
具体例に即して、検討していきましょう!
例① AはBに「このパソコンを100万円で売ってあげるよ」と言った。しかし、実はAにパソコンを売る意思がなかった
この場合、AはBに、勘違いでパソコンを売ると言ったわけではありません。Aはパソコンを売るつもりがないにも関わらずそのようなことを言っているのです。このような心裡留保による意思表示は有効です(民法93条本文)。
例② Aの発言に対し、Bが「それじゃあ、そのパソコンを100万円で買うよ」と答えた
93条1項により、Aの嘘の意思表示は有効です。そのため、Bが例②のように答えた場合、意思表示が合致したことになり、契約が成立します。したがって、Aは100万円と引き換えに、Bにパソコンを渡さなければなりません。
以上からわかるように、民法93条は、Bを保護するためのものです。というのも、Aの嘘を信じたBを保護する必要がありますし、Aには、売るつもりでないにも関わらずそのようなことを言ったという点で帰責性があるため、Bを保護することが正当化されるのです。
例③ 例②の場合で、Aの発言が嘘であることをBは知っていた
そうすると、例③のように、意思表示の真意でないことを知っていた場合や、嘘であることを容易に知りえた場合には、Bのことを保護する必要はありません。
そこで、民法93条但書き(上記)は、表意者が真意でないことを知っていた又は知りえた場合には、その相手方を保護しないとしています。
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