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刑事訴訟法における訴訟能力とは?わかりやすく解説! 

Last Updated on 2022年10月13日

 

刑事訴訟法314条1項は、被告人が心神喪失の状態にあるときは公判手続きを停止すると定めています。 

 

・刑事訴訟法314条1項 「被告人が心神喪失の状態に在るときは、検察官及び弁護人の意見を聴き、決定で、その状態の続いている間公判手続を停止しなければならない。但し、無罪、免訴、刑の免除又は公訴棄却の裁判をすべきことが明らかな場合には、被告人の出頭を待たないで、直ちにその裁判をすることができる。 

 

 心神喪失の状態とは、訴訟能力を欠く場合をいいます。そして訴訟能力とは、被告人としての重要な利害を弁別し、それに従って相当な防御をすることのできる能力をいいます(*最決平成7年2月28日)。被告人に訴訟能力がない場合、そのまま公判手続きを進行させてしまうと、防御活動を十分にすることができず、実質的な手続保障を欠くため、上記のような措置が取られます。 

 

 訴訟能力を欠くため公判手続きが停止されたが、被告人に訴訟能力の回復の見込みがない場合、どうなるのでしょうか。実際、公判手続停止から数年、数十年にわたり、停止状態が継続するケースもあります。この点について最高裁は、公判手続が停止された後訴訟能力の回復の見込みがなく公判手続の再開の可能性がないと判断される場合裁判所は刑訴法3384号に準じて、判決で公訴を棄却することができるとしています(*最判平成28年12月19日)。 

 

 

・刑事訴訟法338条 「左の場合には、判決で公訴を棄却しなければならない。 

4号 「公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。 

 

 

 また、被告人に訴訟能力がない場合、公判手続の停止以外にも影響があります。一般に、訴訟能力を欠く状態で行った訴訟行為は無効になるとされています。例えば、判例には、訴訟能力を欠く状態で行った上訴取下げを無効としたものがあります(最決平成7年6月28日)。 

 

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